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過去を変える
(2009/10/06 公開) 【ストレス防御!】
「もしあの時に戻れたら違う選択をするのに」とか「あの時あんなことさえしていなければ」なんていう「たら・れば」って誰にでもあるんじゃないでしょうか。決してその当時に戻れるワケでもないのに、頭の中をエンドレスに駆け巡ってしまったりして、過去の亡霊に惑わされたりしていませんか?
「どんなに過去のことを考えたって、過去は変えられないんだよ。」なんてよく言われますよね。私もそうだと思ってました。でも、よく考えてみたら、本当は過去って変えることができるんです。そして、それは誰もが日常的にやっていたりするんです。だからタイムマシンを発明しなくっても、過去や現在や未来を自由自在に変えられるんです。
現在を変えるには、今、行っている行動そのものを変えてしまえば簡単に変わります。今、判断しようとしていることの目先を変えてみれば、それに連動して未来も変わります。だから現在を未来を変えるのは簡単です。では、過去を変えるにはどうすればいいんでしょうか。
ひょっとすると拍子抜けしてしまうかも知れませんが、その方法はとっても簡単です。それは「評価軸を変えてしまう」ということです。たとえば、自分の過去が挫折と孤独に満ちたツライ過去だったとします。「特に青春らしいものもなかったし、多感な時期を無駄に過ごしてしまった。」と思うかもしれません。
確かにそうか・・・と思ってしまいそうですが、ここで評価軸を変えると過去がガラッと変わります。「同世代の人が浮かれている間に、たっぷりと人生の挫折を味わったからこそ、打たれづよく人の痛みが分かる人間になることができた。」と肯定的な評価軸で解釈すると、現在の自分の評価すら変えてしまうほどに過去が変わります。
いきなり自分自身が抱いている過去に対する評価軸を変えることは、ちょっと不自然で無理がかかっているような気がするかも知れません。でも、実は似たようなことを無意識下でけっこうやっていたりするんです。たとえば、自分の過去について「悲観的」に考えるクセがついていると、ちょっとした出来事の思い出に尾ひれがついて、当時の現実以上に悲観的な思い出になってしまっていることがあります。
また、過去を美化するクセがついていると、本当は現在とあまり変わらない状況なのに(むしろ現在の方がいい状況になっているにも関わらず!)、過去に起こった出来事にいろんな「気のせい」とか「妄想」とか「当時の視点」とかがくっついて、現実とは違うストーリーができていたりします。
たとえば、幼かった時に通っていた幼稚園や小学校に行ってみれば分かります。ものすごく高かった滑り台が低かったり、ものすごく広かった校庭が狭かったりします。ちょっと気になっていた子の当時の写真を見てみると、相手もまったくの子供で(当たり前ですが)、どこが気になっていたのか全く分からないくらいです。
このように人の記憶というモノは、自分の都合のいい方向に少しずつ修正されて記録されるようです。それは当時の「現実」が記憶されるのではなく、当時の「感情」とか「思い込み」がクローズアップされて記憶されるからです。特に古い記憶になればなるほど、過去に対する「バイアス」とか「思い込み」という無意識によって大きくねじ曲げられます。
だから、この特性を生かしてプラス方向に「過去の思い込み」を修正すればいいんです。まず、自分の「現在」と「過去」を切り離します。そして「現在」だけにフォーカスを絞って自分の良い点をリストアップします。思いつかなければ、最近、人から言われて嬉しかった自分の評価を考えてみればいいと思います。そしてそれを受け入れた上で、どうしてそうなったのか・・・という軸で過去を見返してみるんです。
現在の視点から過去を見て、過去についての捉え方が変わると、現在の自分に対する見方が変わります。そして現在が変わると、さらにその先の未来が変わります。過去は変えられるし、そこから現在も未来も変えることができるんです。全部変えることができるんです。きっと「遅すぎる」なんてことはないと思います。
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