Texpandプロ版が日本解禁!
大事なことです。結論から書きましょう。Androidで効率的な文字入力を実現するための切り札「Texpand」が、ついにプロ版が日本で利用できるようになりました。これでAndroidでも快適入力ができるようになります!
これはニュースです!
実例でわかるTexpand
……結論から書きすぎて、これでは何が何だかわかりませんね。
では「Texpand」を使った便利なシーンから、ごらんいただきましょう。
辞書登録できない複数行を入力できる!
緑色のチェックマーク(画面中央)が表示されました。押してみると……
あらかじめ登録済みのメールテンプレートが複数行表示されました。
入力の効率を高めるためにIMEの辞書登録をする人は多いと思いますが、複数行にわたる辞書登録は通常できないので、この機能が使えるだけでもTexpandの便利さがわかると思います。しかし、Texpandの魅力はそれだけではありません。
現在の日付や時刻の挿入ができる!
次は「さんにき」と入力してみました。緑色のチェックマークを押すと……
ここで注目するところは、その時点の日付と時刻が入力されていることです。日付時刻以外では直前にコピーしたクリップボードの内容や、テキスト挿入後のカーソル位置も指定できます。
プロ版で便利になる顔文字入力!
ちょっとしたチャットで顔文字を入力したい時に威力を発揮する機能として、ひとつのキーワードで複数の候補を登録することができます。これはプロ版限定の機能ですが、とりあえずご覧いただきましょう。
おもむろに「ああわく」と入力すると、いつものチェックマークが表示されます。
「ああわく」(アスキーアートわくわく)で、わくわく系の顔文字が選べます。
こうすると顔文字を使いたいタイミングでどんどん送れるようになります。
さらに「ああ」(AA)に続くキーワードを忘れても、オレンジ色のサジェストマークを押すと……
「ああ」から始まるキーワードが一覧表示されるので、全く困りません。
チャットやゲームにも活躍!
エディタだけでなくゲームなどでも使えるので、使い道が広がります。
一見、ぐちゃぐちゃに文字が入力されているように見えますが……
このように辞書登録では不可能の長さのペーストも簡単にできます。
クラウドを使ってマルチデバイス!
この機能だけでも結構便利なのですが、複数台のスマートフォンを使っている場合に、キーワードの登録内容がバラバラになってしまうのはいただけません。でも「Texpand」はGoogleドライブに対応しているので心配いりません。
でも、Googleドライブに気軽にバックアップが取れるのでした。
重複したときに上書き更新するか無視するかを聞かれます。
ここでは「上書き更新(Update)」を選びました。
体験版を使ってみよう
便利とはいうものの、自分が持っているAndroidで使えるか分からなかったり、自分が実際に使ってみて使いやすいかどうか分からないのは不安です。やはり事前に確認しておいた方がよいでしょう。まずは体験版を入れてみましょう。
まずはGooglePlayで「Texpand」を選びます。(体験版)
Texpand – Text Shortcuts
アシスト機能の権限を付与するか聞かれるので「OPEN SETTINGS」を選びます
「DISABLE BATTERY OPTIMIZATION」を選びます
(この設問で電源最適化を有効にすると不具合が出ることが多いのです)
ひとつ前の画面と同じことを聞かれていますが、ここでも「はい」を選びます
これでやっとセットアップが完了です。右下の緑色のボタンを押して……
いくつかの注意点
そんな便利な「Texpand」ですが、いくつか注意点があります。
無料版は10個までしか登録できない
もっとも、キーワードを10個登録した時点で、だいぶ「Texpand」を使いこなしてきている状況かも知れません。有料版にすると、無制限にキーワードを登録できるようになるほか、一つのキーワードで複数の文章登録もできるようになります。
プロ版といってもお値段はお求めやすい330円なので、自販機のコーヒーを2回我慢したくらいの金額です。それだけで所有Android複数台で使えるなんてお得すぎます。ぜひ買っちゃいましょう。
実は、少し前まで、このプロ版を購入することができませんでした。プロ版を購入しようとすると「お住まいの国でご利用いただけません」という、つれないメッセージが表示されていたのです。
ダメモトでコメントに日本でも使えるようにしてほしいと拙い英語で書いてみました。
で、2日後になんの気なしにGooglePlayを覗いてみたら、なんと330円で買えるようになっていました。以前から日本の国対応を準備しておいてくれたのかもしれませんが、私にとっては「神対応」というやつです。
本当にありがとう!
仮に納得できない内容だったとしても330円。納得できたとしたらほとんどタダみたいなものです。
基本的に「テキスト」補完しかできない
こちらは無料版・プロ版いずれも該当するのですが、「Texpand」はその名の通り「テキスト」が補完対象になります。
「テキスト」というのは、フォントの大きさや色や装飾などをしない文字データのことです。そのため、Googleドキュメント、Wordなど、文字装飾できるアプリケーションでは補完機能が使えません。
多くのAndroidアプリではテキストデータを入力することがほとんどなので、困ることは少ないのですが、GoogleドキュメントやWordを多用する人は知っておいた方がいいでしょう。
開発者もすでにこの課題を把握しているようですので、できるだけ早い解決が待たれます。(または、テキストだけに特化するという方向性を明確にするのかもしれませんが。)
IME登録との棲み分け
「Texpand」を使ったからといって、それまで使っていたGoogleIMEやATOKの辞書登録が不要にはなりません。日常的な変換でメインになるのはIME辞書となるでしょう。「Texpand」はあくまでも「Android専用の頻出文例変換」として補完的に使うのがいいでしょう。
辞書登録マニアの方々向けにメッセージを発信するとすれば、IME辞書の効率化は通常変換と干渉しないように工夫する必要がありました。たとえば、
「いそ」→「お忙しいところお手数をおかけしております。」
と登録すると、「 いそいそ と出かける」という文章を入力した時点で誤変換が発動します。それを避けるために、
「いっそ」→「お忙しいところお手数をおかけしております。」
と登録すれば、「 いっそ 、このままどこかに行きたい。」で、誤変換が発動します。
だから、IMEマニア達は、
「sgt」→「お忙しいところお手数をおかけしております。」
※「sgt」←「Oi S o G asii T okoro」
のように、あえて子音字だけで略語登録を構成したりするのですが、少なくとも「Texpand」はIMEとは個別に文字挿入の仕組みが動作するので、IME辞書との干渉を考えなくてもいいというのは非常にメリットです。
使いどころは?
これと同じような機能として、PCでは「PhraseExpress」というソフトウェアを使っています。これもIMEとは個別に動作する仕組みで「Texpand」とほぼ同じ(というか、それ以上の)機能を使えるものです。で、私は次のように棲み分けを考えています。
【IME辞書】
- 日常的によく使う用語登録
- 日常的によく使う略語登録
【Texpand/PhraseExpress】
- 複数行にわたる文章登録
- 月日時刻その他の動的入力
- 頻度が特に高い略語登録
→Texpand:Android専用のキー配列で登録
→PhraseExpress:PC専用のキー配列で登録
個人的な今後の挑戦
Android用の「Texpand」と、PC用の「PhraseExpress」のデータをどのように共有するかという点に興味があります。そもそもキー配列が違うので、全く同じキーワードではあまり意味をなしませんが、一方で、あまりにルールが違いすぎると記憶しなければならないことが増えます。
デバイスを使って効率化する背景には、限界や劣化のある人間の能力を超えたいという欲求があります。そして「記憶力」もそのひとつです。つまり人的な記憶力に依存した効率化というのは、 仕組みとして美しくない と私は思います。
いいアイデアが思いついたら、ここに書いてみたいと思います。
それでは、また。